日記よりのブログ

Duは何しにドイツへ

Duはドイツ語のYouです。

My アドベンチャー in Germany

もう時効だと思うからこの記事を書きます。

 

ドイツで学生をしながら、6部でサッカーしてたときの話です。

その当時のチームは6部でも中間層のチームだったので、固定給なんてものはなくてチームが勝ったときに75€(¥10,000弱)を勝利給としてもらっていました。シーズン時は毎週試合があるから、毎週試合にでて勝ったとしたらMAXで4万円程度稼げます。6部でも、たまに固定給をもらっている選手などもいて、ドイツのサッカー文化のすごさを眼の当たりにしました。

この勝利給はスタメンの11人に適応される額で、交代選手は半分の35€(¥5,000弱)もらっていました。たぶんこのレベルのサッカーチームはどこも似たようなお金事情だと思います。

毎週試合に出れるわけでも、毎週勝てるわけでもなく、これで生計をたてれるわけでもなく、別でバイトをしながら激安学生寮(家賃2万)に住んで、ドイツの激安の大学の学費(半年で272€/3万5,000円くらい)をやりくりしながら勉強できるのがすごいすごい楽しかった。なにより、今まで積み重ねてきたサッカーが、お金で評価されることがなんかプロになった気分で嬉しかった。

 

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シーズンが終わり、試合出場機会を求めて移籍しようと考えました。

6、7、8部の3チームほどトライアウトにいきました。1チームは落ち、2チームは受かりました。そのうちの1チームはいままでのような固定給はなしの勝利給だけの契約。

 

しかし、もう1チームのオーナーが僕を気に入ってくれて、8部では破格の契約したいと言ってくれました。その人の家に呼ばれ、コーヒーを飲んでチームのこれからのビジョンや夢を語ってくれました。その人は個人でバーを経営していて、そっちの仕事でもオーナーみたいな感じで、気が向いたら手伝うくらいの働き方の人でした。

サカツク実写版みたいな生活をしていてかなり羨ましいなと思いました。

当時、住んでいた激安学生寮での夜の騒音問題で引っ越したいと相談したら、家の手配と彼のポケットマネーで家賃を払ってくれるからおれのチームに来いと言ってくれました。(ドイツに不動産会社みたいなものはなくて、家を探すのは日本の桁違いで難しいです。ましては外国人として。。)

その手配もあり、僕はど田舎の学生寮から、The cityのど真ん中の家(家賃も倍くらい高い)に引っ越したのでした。

 

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彼のポケットマネーの家賃の件は他言厳禁で契約書を書かされました。チームメイトはもちろん、家族や友達にも言わない約束になっていました。もう時効だと思うので、書きますが。

プライベートの不安も消えて、出場機会も増えてきて、順調満帆に進んでいました。

ベルギーに遠征に行って、3部練して吐くまで走るのに夜はビール飲むっていうもうめちゃくちゃな一週間の遠征もあったけど、ほんとに楽しかった。

 

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しかし、お金ってもんは厄介なんですよ。

優しかった彼もチームのオーナー。彼の思うようなプレーをしないと人一倍強く当たってくるんです。特に僕には。

でも、そういうもんだって腹をくくって毎回の練習では120%を出し切っていたし、不満ばっかり言っていても意味がないから戦い続けました。アジア人だからとか、身体が小さいとか、自己主張が足りないとかいろいろ言われたけど、その度にピッチ内でそいつらを削ってました。

 

 

ただ、自分の好きなプレー、やりたいプレー、今まで積み重ねてきたものが、ただゲームのコントローラー上で動かされている気がして、サッカーが心から楽しめなくなってきました。何回か伝えました、これはFIFAじゃないぞ、おれは機械じゃないぞ、こんなんつまんないよ、と。僕には協調性はありません。サッカーグラウンドだけではなく、学校でも寮でも、思ったことは言ってきた人生でした。その度に、監督との衝突や、日本では先生や先輩に一方的に干されたりもしました。

オーナーの彼はそれでもしっかり話を聞いてくれました。相談にも乗ってくれました。

 

チームは勝ち続け、昇格しました。

 

優勝、昇格パレードはバスを貸し切り、音楽ガンガンで街を走り、浴びるようにビールを飲み、ホームグランドに帰り地元民が祝ってくれて、BBQをしました。

人生のハイライトでした。

 

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そして、ある日突然解雇されました。

金額に見合った活躍ができていない、理由はそれだけでした。

一見、不当な解雇に思えますが、僕は不思議と腑に落ちました。

 

彼は、オーナー。その下に監督、その下にコーチと続いていきます。オーナーが一番強いんです。だから、オーナーがこいつはいらないって言ったら、監督の意見はどうであれ切られることがあります。

 

これが結果なんだと、諦めがつきました。このレベルでは普通ではダメだったんだ、スペシャルになれなかった自分の実力不足だったんだな、と。

監督が間に入らない突然の解雇は、もちろん僕が初めてだったみたいでチームメイトからは電話をもらって、何があった?と聞かれました。

ただの解雇だよ、クビだよとしか言えませんでした。

自分の中で限界が見えたのが成長でした。サッカーとの失恋はきつく、1ヶ月間くらいはハリボーだけしか喉を通らなく、7キロくらい体重が落ちました。

 

 

皮肉なことに、僕の大好きな映画の内容にすごく似ていいて、それで心を落ち着かせました。

皆さんはマネーボールという映画を見たことがありますか?僕は嫌なことがあるといつもこの映画をみて心を落ち着かせます。

 

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この映画で、ブラピの一言がこの時の感情にすごくリンクします。

 

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(略)私は人生で一度、お金を基準に決断を決めたことがある。

でも、もう二度としないと決めたんだ。

 

あのとき、家賃とか契約とか勝利給とかそんなの気にしないで、自分のやりたいチームでやれていれば、、、。そんなことを思っても、人生のハイライトを得ることができたのも、あのチームだったから感謝しかないんです。

 

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今は転職とかは考えてないんですが、3ヶ国語話せるのを面白がって、リクルーターから転職の誘いをもらうのですが、お金を基準に決断だけはしないと決めています。

 

 

サッカーとはいい別れ方じゃなかったんですけど、それでもまた戻りたいなって思います。サッカーだけではなく、スポーツ業界に戻りたいです。今じゃなくていいんです。経験を積んで、還元できるようになってから、いつか戻りたいです。